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日野市石田・あおい動物病院

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尿検査

尿は腎臓でつくられて膀胱にためられ、尿道を通って排泄されます。必要十分な尿がつくられて適切に排泄されないと病気になってしまいます。(逆に、病気のために充分な尿をつくることができないケースもあります。)

人も犬も猫も赤ちゃんとして生まれてから亡くなるまで(ほぼ)毎日尿をつくって出し続けています。時にはおもらしをしたり、うれション、マーキング、スプレー行動、大切なものにわざとおしっこをかけたりと私達を困らせてしまうこともありますが、尿は体の状態を教えてくれる大切なものなのです。動物達も尿の排泄のしかたには個性(こだわり?)があり、上手にペットシーツにできる犬、どうしてもお散歩でないとしてくれない犬(台風でも、大雪でも、飼い主さんが体調不良でフラフラな時でも!)、トイレ砂にこだわりのある猫、1回でも排泄の跡があるとトイレで用をたしてくれない猫など様々です。

毎日何気なく接し、処理している尿ですが、尿はどのようにつくられ、どのような情報を私達に教えてくれるのか知っていますか?まず、少し難しいですが、尿はどのようにしてつくられるのかみてみましょう。

 

尿のつくられるまでと尿検査の意義

尿をつくる腎臓は、背中側に1対あるそら豆状の器官です。(腎臓の形は動物種によって異なりますが、人、犬、猫ではそら豆状です。)

腎臓はネフロン(腎単位)というものが集まって構成され、ネフロンは腎小体(毛細血管がくるくると球状のかたまりになっている糸球体と、それをとりかこむボーマン嚢)でできています。ボーマン嚢は、糸球体を通った血液から濾過されてしみ出した液体(原尿)を集める尿細管につながっています。尿細管は原尿から体に必要なものを再吸収し、不要なものを分泌しています。このようにして腎臓で血液からつくられた尿は腎臓と尿管をつなぐ腎盂に集まり、輸尿管を通って膀胱にためられ、尿道を通って体外に出されます。上記のように、腎臓には尿をつくり、体の中でつくられたいらないものを排泄する働きがありますが、もう少し詳しくいうと、腎臓は尿を生成することによって細胞外液(血液中の液体成分である血しょうや体を構成する細胞のまわりにある液体)の水分量や電解質、ミネラル、浸透圧、pHを一定に保ち、体にとって有用なものを再吸収することで体にとどめ(ブドウ糖、アミノ酸などは100%、他に必要な量の水や電解質を再吸収)、体にとっていらないもの(アンモニア、クレアチニン、パラアミノ馬尿酸などは100%、他にはほとんどの尿酸、尿素、硫酸塩など)を除去しています。これらの物質を再吸収するか除去していくかの作業は尿細管で行われています。

尿検査は上記のような腎臓、上部尿路(腎盂、尿管)、下部尿路(膀胱、尿道)の状態を知り、健康か?病気か?病気の場合どこのトラブルなのかを知る手がかりとなります。尿検査は(採尿にはちょっとしたテクニックと動物の個性との兼ね合いがありますが)動物に苦痛を与えることなく検体を採取することができます。(状況によってはカテーテルや膀胱穿刺が必要なこともあります。)また、尿検査は多くの情報を得ることができますが、尿検査だけで全ての健康状態を把握できるものではなく、診察(身体検査、問診、視診、聴診、触診など)、血液検査、レントゲン、超音波などの画像診断(時にはCT、MRIなど)の検査結果を総合して診断します。

 

尿検査はどのような時に必要でしょうか?

尿検査は主に排尿のトラブルのある時、例えば何回もトイレに行って排尿姿勢をとるが尿が出ない(出が悪い)、いつもはトイレを失敗しないのにあちこちで少量の尿をしてしまう、血尿がある、排尿した跡がキラキラしている、尿が濁っている、多飲多尿がある、またそれらの症状に加えて嘔吐があるなどのときに実施します。

犬、猫で多いのは細菌性もしくは非細菌性の膀胱炎や尿路閉塞などの下部尿路疾患です。膀胱炎になると膀胱に炎症がおきて少しずつつくられている尿に対して過敏になり、少量の尿を何度もあちこちでしたり、炎症産物や結晶、結石がつまって(栓子)尿が出なくなり、緊急事態になることも少なくありません。(特にオス猫は尿道が細く長いためリスクが高いです。)また、結石は尿道だけではなく膀胱内や腎臓にできてしまうこともあります。

尿路閉塞をそのままにしておくと、おなかが痛かったり苦しいだけでなく、排尿による老廃物の体外排泄ができないため尿毒症になったり、大きくなった膀胱が破裂するなど命取りになってしまうこともあります。このような時は排尿障害の他に嘔吐もともなってきます。上記のような場合は状況により自然排尿、圧迫排尿、尿道カテーテル、膀胱穿刺のいずれかの方法で尿をとり、尿検査を実施します。

正常な1日あたりの尿量は犬の場合体重1kgにつき20~40ml、猫の場合体重1kgにつき18~25mlといわれています。体重1kgにつき50ml以上の尿は多尿、7ml以下を乏尿(尿量の低下)、2ml以下もしくは尿の産生がないことを無尿といいます。(正確な尿量を調べるには「代謝ケージ」という特別な装置を必要とします。)また、犬の正常な飲水量は1日あたり体重1kgにつき50ml以下です。多飲多尿の原因としては投薬(利尿剤、副腎皮質ホルモン剤など)、高塩食、一部の抗生物質、腎疾患、上部尿路感染症、糖尿病、子宮蓄膿症、尿崩症(中枢性および腎性)、副腎皮質機能亢進症や低下症、肝機能不全、甲状腺機能亢進症、高カルシウム血症、低ナトリウム血症などがあります。また、尿検査の結果には、朝起きて一番の尿なのか、食前、食後、飲水、運動の後なのかによって数値に影響があるので、いつの尿を採取するのか指示に従うようにしてください。(特に犬では尿の比重は朝一番の尿でないと信頼するデータが得られません。)また、尿は時間の経過や光にあたること、温度などによっても数値や性状が変化しやすいものなので排尿後清潔な容器に採ってから30分以内のものを検査に使用することが望ましいです。

 

尿検査の評価

1.一般性状

尿の色調、混濁度、臭気、泡の有無などをみます。色調は淡黄色~黄色が正常ですが、異常があると様々な色調を示します。例えば赤い色の場合、尿路系の出血の時は遠心をすると赤血球などの血球成分は下に沈み、上清は淡黄色になりますが、ヘモグロビン尿やミオグロビン尿は遠心をしても細胞成分が分離せず、上清はやや茶色がかった赤のままです。混濁度は正常では透明ですが、濁ってくると細菌や細胞成分、結晶、分泌物(粘液、脂肪滴、精子など)を含みます。泡が顕著な尿はタンパク尿を疑います。臭気にも異常がないか確認します。

 

2.尿試験紙検査

・GLU(尿糖)

正常値…陰性

正常な尿は尿細管で糖を再吸収されるため、尿中には出てきません。尿糖がみられる時は尿細管の再吸収能力を超えるような持続的高血糖(糖尿病)や尿細管機能異常によるものが疑われます。このような時は血糖値の測定をし、血液検査でも高血糖(犬で180mg/dl以上、猫で280mg/dl以上)を示すのかを調べます。血糖値がそれより低い時は尿細管機能の異常を考えます。

 

・PRO(尿タンパク)

正常値…尿比重1.020以下の時は陰性。また犬、猫では比重が1.035以上の濃縮尿の時は反応が+(30mg/dl)であっても正常とします。

アルブミンより大きな分子のたんぱくは糸球体から濾過されず原尿中には出てきません。軽度の陽性では尿路系の炎症や出血によるものが疑われますが、重度の陽性は糸球体疾患を疑います。重度の尿タンパクが出現している時は、尿タンパク/尿クレアチニン比を測定して(検査センターへ外注)より詳しい検査が必要となり、あわせて腎臓についての精密検査を実施します。

 

・BIL(ビリルビン)

正常値…犬では尿比重1.020以上では+(0.5mg/dl)を示すことがありますが、猫では陰性尿中のビリルビンを検出します。ビリルビン尿は臨床的な黄疸に先立って認められます。猫で陽性、犬で有意な陽性が示された場合は肝胆道系疾患や溶血性疾患を考えます。

 

・URO(ウロビリノーゲン)

本来は胆道閉塞の指標として用いられる検査ですが、犬、猫では充分な信頼性のあるデータが得られないので評価しません。

 

・pH正常値…5.5~7.0

犬、猫などの肉食動物(犬は肉食に寄った雑食動物、猫は完全な肉食動物)の尿は酸性を示します。(草食動物はアルカリ性の尿を排泄します。)尿pHは食餌の内容や採食の状況(食前か食後か)、膀胱内の細菌の増殖、体の酸-塩基のバランス、尿細管機能によって変化します。体の酸-塩基のバランスは血液検査もあわせて評価しますが、下部尿路疾患の時はアルカリ尿が問題となり、結晶(特にストラバイト結晶)や結石のリスク、膀胱内の細菌増殖が考えられます。

 

・S.G.(尿比重)正常値…犬1.015~1.045 猫1.035~1.060

尿比重は水を1とした時の尿の重さの比を表します。わかりやすくいうと尿の濃さを表すものです。上に犬、猫の尿比重を記しましたが、健康な動物ではたいてい1.030以上となります。

尿比重が1.008~1.012の尿(臨床的には犬1.012~1.030、猫1.012~1.035)は「等張尿」といい、尿の濃縮が行われていない(薄い尿)状態を示します。腎機能の低下(慢性腎不全)の時などにみられます。血液検査ではBUNやクレアチニンの上昇がみられるようになりますが、尿比重の低下のほうが早く始まります。臨床的には多尿となります。(脱水の時は血液中のBUNの上昇が認められても尿比重は高い値を示し、尿の濃縮が認められます。)また、尿比重がもっと低く、1.008未満の時は「低張尿」や「希釈尿」とよばれ尿崩症などの時にみられます。また、正常値を上まわる濃い尿は「高張尿」とよばれ、脱水や尿石症のリスクがあります。犬で1.050以上、猫で1.060以上は著しい脱水を示唆し、危険な状態です。

 

・BLD(尿潜血)正常値…陰性

尿中のヘモグロビン(赤血球に含まれる、酸素と結合して全身に酸素を運ぶ働きをするタンパク質)を検出します。陽性の場合、血尿(遠心をすると赤血球などが沈み、上清が淡黄色となる)か、ヘモグロビン尿(遠心しても色が変わらない)のか鑑別をします。血尿の場合は尿路系の出血を示し、ヘモグロビン尿の場合は血管内溶血性疾患を考えます。また、試験紙はミオグロビンにも反応を示しますが血液を遠心した時の血しょうは赤い色を示しません。ミオグロビン尿は重度の筋肉損傷を示します。

 

・KET(ケトン体)正常…陰性

ブドウ糖が足りなくなってしまった(枯渇した)状態で脂肪酸が燃焼されると燃えカスとして肝臓でケトン体ができます。尿中ケトン体が陽性の場合ケトーシス(体内のケトン体が異常増殖してしまう状態)を示します。飢餓や糖尿病のときに検出されます。特に糖尿病で尿糖とともにケトン体が検出される時は、糖尿病性ケトアシドーシスという極めて重篤な状態を示します。

 

・NIT(尿硝酸塩)

尿中の細菌の増殖を示すもので、人では重要ですが犬、猫では信頼のおけるデータが得られないので評価しません。

 

・LEU(尿白血球) 正常…陰性

尿中の白血球数をみますが、犬、猫では尿沈渣の鏡検のほうが正確です。白血球の増加(膿尿)の原因は包皮や膣の分泌物による汚染、尿路感染、無菌性膀胱炎、腫瘍、結石、糸球体腎炎(まれ)、発熱などです。

 

3.尿沈渣

尿に混入している不溶性の成分(溶けこんでいないもの)を遠心分離して沈めたものを尿沈渣といいます。健康な動物の尿では沈渣はほとんど認められません。尿沈渣は顕微鏡で検査をします。

 

赤血球

尿路系の出血があることを示します。正常の尿では顕微鏡で400倍に拡大した1視野(HPF)に5個以内であり、それ以上の場合出血と判断します。(出血後時間が経過し、赤血球が壊れて細胞の中身が溶けだして赤血球の輪郭だけ確認できるものも「赤血球ゴースト」として赤血球に数えます。

血尿は、下部尿路疾患、無菌性膀胱炎、前立腺疾患、外傷(外因性、手術、結石)、腫瘍、レプトスピラ症、尿路寄生虫、糸球体腎炎、血小板減少症などでみられます。腎出血がある時は赤血球円柱が出現します。

 

白血球

顕微鏡で400倍に拡大した1視野(HPF)に5個以上で「炎症がある」と判断します。主に認められる白血球は好中球です。自然排尿の場合、外陰部や包皮の炎症に由来する白血球が混ざることもあるので、他の所見と総合して診断します。(カテーテル採尿することもあります。)白血球と上皮細胞の鑑別のため必要に応じて染色して観察することもあります。

 

上皮細胞

沈渣には扁平上皮細胞(大型の角ばった細胞。主に生殖路由来)、移行上皮細胞(腎盂、尿管、膀胱、尿道由来の細胞。正常でも尿に少数認められます。炎症や腫瘍で多数が尿中に剥離して出てきます。)、腎尿細管上皮細胞(腎尿細管由来、正常でも少数あり)などが出現します。上皮細胞は組織損傷、過形成、剥離に関連して認められますが、評価はその他の検査結果と総合して判断します。

慢性膀胱炎では、膀胱粘膜の表面を覆う移行上皮の過形成が生じ、剥離する移行上皮が増加します。炎症細胞とともに多数の扁平上皮細胞が認められる時は、膀胱粘膜の慢性刺激(膀胱結石)や前立腺炎が疑われます。異常な上皮細胞の集塊や多数の上皮細胞が認められる時は腫瘍との鑑別のために染色をして観察します。高齢で慢性の血尿があり、多数の移行上皮がみられ炎症細胞がほとんど認められない時は膀胱癌(移行上皮癌)可能性も含めて検討します。

 

結晶

膀胱炎、膀胱結石などの膀胱内環境の悪化、食餌性、代謝異常、尿の濃縮などによって膀胱内に様々な結晶が析出してきます。また、結晶ができることによって膀胱炎がおきてしまうことがあります。膀胱内に結晶があることがすぐに結石につながるというわけではありませんが体の中でその成分が飽和状態になっているということは間違いないので、必要に応じてレントゲン検査も実施し膀胱内、尿道内、腎臓などに結石があるのか、もしその結石を摘出した場合はその結石の成分は何かなどを調べます。結石は無症状のまま形成され、他のことでレントゲンを撮った時に偶然見つかることもあります。また、結石は膀胱炎がきっかけになる以外に体質や食習慣で形成されていくことも多いので原因を改善していかないかぎり摘出しても再形成されてしまう可能性が高いです。(結石の種類によっては療法食を与えることで溶かしてしまえるものもありますが全ての結石が食餌療法で溶かせるというわけではなく、療法食を与えるためには持病、期間など様々な注意事項があるので綿密な治療計画にのっとって食餌療法を進めていく必要があります。)犬、猫にみられる尿中の結晶はいろいろなものがありますが特に重要なものは下記の結晶です。

 

リン酸アンモニウムマグネシウム(ストラバイト)

最も多くみられる結晶で、アルカリ尿で認められます。主な原因は食餌性、細菌感染です。プリズム形や封筒状で大きさはいろいろです。膀胱炎により膀胱内環境が悪化したことに続発して出てくることもあります。ストラバイト結晶は療法食で溶かすことができます。(ストラバイト100%の膀胱結石も療法食で溶かすことができます。)

 

シュウ酸カルシウム(1水和物)

酸性尿で認められることの多い結晶です。主な原因は食餌性、体質性です。無色で正八面体の結晶であり、膀胱炎は結晶の形成には関与していません。療法食により結晶が作られないようにコントロールしますが溶かすことはできません。(シュウ酸カルシウムの結石も療法食で溶解させることはできません。)

 

シュウ酸カルシウム(2水和物)

高シュウ酸、高カルシウム尿で形成される結晶です。食餌の影響が大きいです。ビスケット状またはダンベル状をした結晶です。1水和物と同様、膀胱炎は関与せず、療法食によりコントロールします。この結晶、結石も療法食で溶解させることはできません。

上記のようにシュウ酸カルシウム結晶、結石は食べ物の影響をとても強く受けます。どのような食生活がシュウ酸カルシウムの結晶、結石をつくらせるのでしょうか?

良質なドッグフード、キャットフードだけでも体質でシュウ酸カルシウム結晶ができてしまうこともあります。そのような犬、猫たちは専用の療法食と水のみでコントロールしていくしかありません。ところが、食餌性の原因は身近にあり、気をつければ予防できるものもあります。

野菜、果物、さつまいもなどが大好きな犬はたくさんいます。“味付けしていないから”、“ほんの少しなら”、“ついかわいくて”、“どうしても欲しがるから”、“ドッグフードだけでは食べてくれないので”、“毎日のご飯だから安全なものを選んで愛情込めて手作りしてあげたい”など様々な理由があると思います。ただし知っておいてもらいたいのは、それらの野菜、果物などには多くのシュウ酸を含んでいるものがあります。犬、猫は人と異なり自分の体でビタミンC(アスコルビン酸)を合成することができます。人のように食べ物から摂取する必要はありません。またビタミンCはシュウ酸の前駆物質(体の中でシュウ酸に変わっていく物質)なので過剰な摂取は高シュウ酸尿の原因になってしまいます。(どの程度が過剰なのかは個体差があります。)

また、同様にして犬で「肉」を食餌に加えているケースもよくみられますが大量のタンパク質(特に肉類)の摂取は注意が必要です。体の中のカルシウムとリンのバランスは何を食べようと犬でカルシウム:リン=1~2:1、猫でカルシウム:リン=1~3:1になるように保たれています。肉には大量のリンが含まれていますがカルシウムはほとんど含まれていません。(自然界の肉食動物は「お肉」つまり「筋肉だけ」を食べているのではないので食餌に肉を加えることは栄養的にも異なります。食餌から大量のリンを摂取すると、体はその量に合わせて自分の骨からカルシウムを抜き出し、その結果尿中のカルシウム濃度も上昇しシュウ酸カルシウム尿石症のリスクが高まります。カルシウムの添加ももちろん高カルシウム尿をひきおこします。

栄養バランスの考慮された(総合栄養食)のフードは(ドライでもウエットでも)カルシウム・リンバランスは調整されています。また、猫の嗜好性を重視したウエットフードの中には総合栄養食ではないものも多く販売されています。良質のドライフードとあわせて嗜好性をアップさせるために加える程度とするか総合栄養食のものを選んで与えるのが良いと思います。人間の食べ物の取り分けや市販の犬猫用のおやつやチーズ、ハム、煮干し、鰹節、カニかまなどに含まれる塩分(ナトリウム)も高カルシウム尿を引き起こします。

どうしてもドッグフード、キャットフードを食べてくれない、トッピングなしでは食べてくれない食習慣が身についてしまっているなど、理想はわかっていても現実はなかなか難しいのはよくわかります。でも、過剰な肉類(高タンパク)、野菜、果物、サツマイモ(ビタミン過剰)、人間の食べ物や市販の犬猫用のおやつからの塩分(高ナトリウム)の取りすぎには注意してください。シュウ酸カルシウムの結晶、結石は療法食では溶かせない、シュウ酸カルシウム結石は手術で摘出するしかない、腎結石の原因にもなる、食餌が変わらない限りつくられ続けるということは頭の隅においといてください。

 

尿酸アンモニウム結晶

酸性尿で形成される褐色で球形をした結晶(新鮮なものでは多数の棘を持っています。)。高アンモニア血症をおこす病気があると出現してきます。ダルメシアンでは家族性に体質を持っているものもいます。食餌療法が必要となります。尿酸アンモニウムの結石はレントゲンにはうつりません。

 

無晶性リン酸塩(無色)、無晶性尿酸塩(黄色~レンガ色)

結晶の形をとらない結晶のできそこない。正常でもみられますが、続く場合は要注意です。それぞれがくっついていくと一定の形をとってきます。無晶性リン酸塩(リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム)はアルカリ尿のときに出現しやすいです。

 

尿円柱

尿円柱は主に尿細管で形成されます。尿細管から分泌されるムコタンパクと血しょう成分、あるいは細胞が寒天状に濃縮されてできる細長い円柱状の構造物です。尿沈渣に含まれるジェリービーンズ状で長さが幅の3倍以上で長軸が平行のものをいいます。腎不全では糸球体から濾過された尿の流れが悪くなるので多く出てきます。

尿円柱は基質円柱と細胞円柱に分けられます。顕微鏡で100倍に拡大した1視野(LPF)にいくつみられるかで評価します。(100倍(LPF)で1つ程度なら問題なし、400倍(HPF)で複数みられるなら重症)

 

基質円柱

正常で少数みられることがあるが多数みられる場合は異常。ヘモジデリン円柱は1つでも異常

硝子円柱…ムコタンパクのみで形成(少数であれば異常なし)

顆粒円柱…尿細管上皮の変性したもの。腎不全で多くみられますが正常でもごく少数認められます。)

蝋様円柱…長期の尿細管閉塞で認められます。多数出現している場合は慢性腎疾患の可能性が考えられます。

脂肪円柱…脂肪滴を含む硝子円柱。脂肪変性した尿細管上皮由来。猫では正常でも尿細管上皮に脂肪を含むため、犬よりも出現頻度が高いです。少量であれば問題となりません。

ヘモジデリン円柱…溶血性疾患や尿細管での出血を示唆します。1つでも認められれば異常です。

 

細胞円柱

赤血球、白血球、尿細管上皮が封入された円柱。尿細管レベルの出血、炎症、壊死が推測されます。円柱内に細胞成分が3つ以上含まれている時に細胞円柱とします。正常な動物では出現しないので少数でも存在する時は異常所見(臨床的意義が高い)です。

赤血球円柱

白血球円柱

上皮円柱

 

細菌

尿中に含まれる細菌。顕微鏡で球菌か桿菌かを鑑別し、量的な評価(少数、中等度、多数)をします。無晶性の塩類との鑑別が難しい時は染色をすることもあります。1種類の菌がみられる時は膀胱炎を、白血球が認められず、複数種類の菌がみられる時は他からの雑菌の混入を疑います。(時間の経ったサンプルは細菌が増殖していることがあります。)

 

真菌

主にカンジタが検出されます。免疫不全動物(糖尿病、クッシング、免疫抑制剤の投与)などのとき認められることがあります。

 

【参考文献】

as Books 犬と猫の臨床マスターブック -検査の意義とテクニックのポイント- 石岡克己:インターズー

勤務獣医師のための臨床テクニック ~必ず身につけるべき基本手技30~ 石田卓夫:チクサン出版社

小動物の臨床病理学マニュアル 日本獣医臨床病理学会編小野憲一郎、髙橋栄司 :学窓社

マダニについて

「寄生虫」というとどのようなものを思い浮かべますか?

誰もが知っている寄生虫というと、(おなかに寄生虫を持った)猫が砂場に糞をすることで子供たちへの感染が心配される「回虫」、イカやサバ、サンマなどの生食で時々問題になる「アニサキス」、北海道のキタキツネたちが(犬もですよ!)感染に関わり、人に肝臓癌と間違われるような病気を起こす「エキノコックス」、ヒモのように長い虫体が節々に分かれ、片節ごとにちぎれてモゾモゾ動く「サナダムシ」の仲間が有名でしょうか。あとは、犬を飼っている人達には忘れてはならない、蚊が感染に関与し、心臓に虫が寄生して大切な愛犬の命を脅かす「フィラリア(犬糸状虫)」などもあります。ちなみに、フィラリアは猫、フェレットなどにも感染します。

今あげた寄生虫たちは(上記以外にも多くの予防・駆除すべき寄生虫はいっぱいいますが)、全て体の内部に寄生する『内部寄生虫』というグループです。それに対して、体表に寄生する虫を『外部寄生虫』といい、ノミ、マダニ、シラミ、ハジラミ、疥癬(かいせん)、アカラス(毛包虫、ニキビダニともよばれます)、ツツガムシなどがそのグループになります。

最近、ニュースでマダニにかまれることが原因で感染するとみられる「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」による人の死亡例が報じられ、問題となっています。2017年の7月には野良猫に咬まれた女性がSFTSに感染し、死亡したというショッキングなニュースもありました。さらに、10月には犬から人に感染した事例が報道されました。それにより2017年10月現在、哺乳類を介した人へのSFTS感染の報告は2例目となりました。直接マダニにかまれるだけでなく、犬や猫の血液や便を通じて感染する恐れがあるとして、粘膜からの感染の可能性も疑われています。まだSFTSについてはわからない部分も多いので今後も最新情報には注意が必要です。今の時点で言えることは、人も犬も猫も、命を守るためにはしっかりとマダニへの対策をたて、予防できるものは予防したほうがよい、ということでしょうか。

SFTSウイルスは、今のところワクチンや特効薬もなく、マダニの恐怖があらためて人々のあいだに広まっています。しかし、このSFTSウイルスは新たに注目されはじめたものですが、以前からマダニが関係する病気は人畜共通感染症でも複数知られていました(日本紅斑熱、Q熱、ライム病、バベシア症、野兎病(やとびょう)、ダニ媒介性脳炎など)。犬や猫でも、犬バベシア症や猫ヘモバルトネラ症などは、マダニが関係する命を脅かす重要な病気です。

マダニにもいろいろな種類がありますが、ここでは私たちが公園や河原、道端、キャンプなどで出会う可能性の高い種類について説明します。(ちなみに、アレルギーの時によく問題になるハウスダストマイト(イエダニ)は、マダニとは違うグループで、吸血はしません。)

マダニは、卵→幼ダニ(1mmくらい)→若ダニ(1.6mmくらい)→成ダニ(3~4mmくらい)という発育をし、幼ダニは足が6本、若ダニ、成ダニは足が8本、つまり、昆虫ではありません。

マダニは草むらの中に潜み、人や動物の体温、振動、二酸化炭素などを感知して草の先から飛び移り、吸血をします。そして、各ステージともおなかいっぱい吸血したら宿主の体からポロリと地面に落ち、脱皮をして次のステージになり、また草の先で新たな吸血相手を狙っています。寄生部位としてよく見つかるのは、指の間、わきの下、首、おなか、耳、目の周りなどの毛の薄い部位です。大量寄生の場合は所かまわずです。

幼ダニ、若ダニ、未吸血の成ダニはとても小さいので、見つけるのは難しいのですが、おなかいっぱい血を吸った飽血成ダニは7~8mm以上になり、イボや赤黒い豆のように体にはりついているので、見つかりやすくなります。そして、おなかいっぱいになると動物の体の上で交尾し、ポロリと地面に落ちて卵を産みます。マダニの吸血は、ハサミ状の口でかみついて皮膚を切り裂き、ギザギザの返しのたくさん付いた口器を動物の体内にさしこみ、周りをセメント状の物質で固め、始めはゆっくりと、そして2日程すると急速にたくさんの血を1~2週間以上かけて吸い上げます。その間、動物に気付かれないように、痛みを感じさせない物質の含まれた唾液を動物の体内に送り込みます。種々の病気は、ダニが急速に血を吸い上げる時に感染が成立します。

マダニを見つけたら、速やかに排除したいのですが、上記のようにがっちりと口器を差し込んで固定しているので、虫をひっぱってとるだけでは口器がちぎれて動物の体に残り、皮膚炎や化膿を引き起こすことがあります。マダニをみつけたら、無理をして取ろうとせず、動物病院を受診して下さい。

マダニは動物の体と環境を行ったり来たりするので、完璧に寄せ付けないのはとても難しいことです。まずは、マダニのいそうな場所に近づかないこと。散歩後に丁寧にブラッシングすること。それに加えて、マダニを駆除する動物用医薬品を使用するのも有効でしょう。

マダニの駆除薬は、背中に滴下するもの、飲ませるもの、首輪などがあります。残念ながら今のところ、1剤だけで100%マダニを寄せ付けない薬はありません。滴下剤もマダニが吸血し始めのゆっくりと血を吸っているときに、薬がマダニの体内に取り込まれ殺すものです。薬だけでなく飼主さんの動物の観察も大切です。

これからマダニの活動が活発になる春から秋に、マダニがたっぷりと血を吸って、まるまると太り、動物に病気をうつす前に駆除してしまいましょう。そのためには定期的な予防を行うことが重要です。

不妊・去勢手術について

手術は誰でも、何の手術であっても不安なものです。「全身麻酔をかけてメスを入れるなんて…」どうしても手術以外の方法がないならともかく、できれば避けて通りたいと思うものです。ましてや、不妊・去勢手術は、まだあどけない、半年令くらいの子犬・子猫たちに実施しましょう…などと言われるのですから。「もう少し大きくなってからでも良いかな」「一回出産させてからでも良いかな」「病気になって、どうしてもという時までは良いかな」「男としてシンボルをとってしまうのは残酷だ(特にお父さん達の意見です)」などと考えてしまいますよね。オスは男として、メスは女として自然な一生を送らせてあげたいと考えるのも当然のことです。それなのに何故、不妊・去勢という手術が広く行われるのでしょう? いろいろな雑誌や飼育書、自治体から配布される小冊子などで「実施しましょう」と呼びかけられているのでしょうか。

ここでは、動物(犬・猫・ウサギ・フェレット)の性ホルモンに関連する習性・本能・生理・病気について、また、不妊・去勢手術のメリット、デメリットについて述べてみたいと思います。また、不妊・去勢手術は、全身の健康状態、身体検査、体格、問診、視診、触診、聴診、ワクチンの接種歴、発情の状況、術前の血液検査(一才未満の猫の場合、血液検査を省くケースもあります)で、健康チェックをして実施可能かどうかを判断し、全身麻酔下にて行います。術後は原則的にオス猫は当日、他は翌日退院となり、約一週間自宅看護となります。状況により(年齢、基礎疾患のある場合など)もう少し入院がのびることもあります。不妊・去勢手術をすることでQOL(生活の質)の向上や長生きが期待できるとも言われています。

 

犬の交配 ~赤ちゃんが欲しいですか?~

「犬」は「犬同士」であれば交配・妊娠が可能です。極端な例では(自然交配が成立するかどうかは別として)セントバーナードとチワワのミックス犬を作ることも可能です。
犬たちは、それぞれの歴史の中で役割を与えられ、特徴を持った犬種に細分化されてきました。「犬」ほど同一種で大きさのバリエーションのあるグループはないのではないでしょうか。
「犬」にも「純血種」と「交雑種(いわゆる雑種、ミックス犬)」があります。どちらも優劣なく、愛らしい、人間の友達です。しかし「純血種」には、その犬種に固有の歴史、特性、性質があり、健康の維持も考慮して、国際および国内の基準で認められたものを「純血種」として公認し、血統証を発行して、種と種の質を維持しています。
そのような背景を考えると、安易な気持ちや興味本位で故意に「交雑種」をつくるのは望ましいことではないと思われます。また、犬の産子数は、小型犬などは少なければ1~2匹のこともありますが(ただし胎仔数が少ないと胎仔が大きくなりすぎて難産になる傾向があります)、中型犬で4匹ぐらい、大型犬では10匹以上生まれることもあります。
交配・出産は、飼い主もワクワクし子育てする愛犬やすくすく育っていく子犬たちを見守るのはとても楽しいことですが、子犬の「その後」についても考えてあげなくてはいけません。犬の一生には、食餌、消耗品、手入れ用品、おもちゃなどの他にも、一生に一度の登録、一年ごとの狂犬病予防注射、混合ワクチン、フィラリア予防、外部寄生虫(ノミ・ダニなど)や消化管内寄生虫(回虫、鉤虫、鞭虫など)の駆除・予防、万一の病気のときにかかる費用、毎日の散歩、犬種によってはトリミング代など、たくさんの労力とお金のかかるものです。犬を飼うと決めたら、その犬の「一生を引き受ける」という責任をもつ覚悟が必要です。生まれた子犬たち全員を一生責任を持って飼いとげることができますか? または、愛くるしいさかりに、友人や知人に譲渡したり、ペットショップに売ることができますか? 万一引き取り手が現れないとき、子犬たちを飼い続けられますか?
また犬種の中には、充分な知識がない人が繁殖するのはやめたほうがよい犬種もあります。人気のある犬種で代表的なものの中に、毛色によって先天異常や致死的である組み合わせが知られているミニチュアダックスフントやシェットランドシープドッグがあります。これらの犬種は安易な繁殖(特に珍しい毛色の子の)は絶対に避けてください。また、その他の人気犬種でも、珍しい毛色同士の安易な交配は避けてください。近親交配や、血の近いもの同士の交配になってしまうかもしれません。遺伝疾患を持った子犬が生まれる確率が高くなってしまいます。その他にもチワワやフレンチブルドッグなどの、体に対して頭部の大きい犬種は、帝王切開による出産となることがほとんどなので、交配を考える前にもう一度これらのことを家族でよく話し合ってみてください。

 

犬の発情期の行動

メス犬の発情期は、年2回程度、2週間から1か月くらいの発情出血を伴います。出血は目立つ犬と目立たない犬がありますが、いずれも陰部が腫脹し、オス犬を受け入れる準備が整います。この時期はオス犬をとてもひきつけるようになります。ドッグランやノーリードでの外遊び、トリミングなどはマナーとして避けたほうがよいでしょう。また、発情期終了後に「偽妊娠」といわれる、まるでつわりのような状態になり、食欲低下、嘔吐、下痢、精神的に不安定になり怒ったり咬むようになる、おもちゃやぬいぐるみを子供代わりにかわいがって離さない、乳腺の腫脹や乳汁の分泌がみられることもあります。「偽妊娠」は病気ではないので、時がたてばケロリと良くなりますが、発情期の前、中、後とも不調になる犬にとって、発情期が年に2回あることは、1年の半分くらいが不調を伴って過ごすことになります。
オス犬は、決まった「発情期」はなく、年がら年中発情中、繁殖OKの状態です。発情期のメス犬のにおいにはいつでも誘惑されてしまいます。去勢していない犬のオスの行動は、発情期のメスのにおいに興奮する、メスを求め脱走する、他の犬への攻撃性、飼い主の足やものにマウンティングする、吠え続けるなどが見られます。これらは性ホルモンの影響によるものが多いといわれています。ただし、犬は頭がよく学習能力も高いので「学習してしまうと性ホルモンがなくなっても問題行動がなくならない」ということもあります。また100%が性ホルモンが原因とは限りません。ただし、上記のようなことを学習してしまう前に、行動抑制として早期に去勢手術を実施するのは有効だと考えられています。男の子として生まれて、本能的な繁殖行為の欲求が満たされないまま、誘惑され続けるのは可哀想かもしれませんね。経験のあるオスはいっそうフラストレーションがたまるようです。オスメスが同居している場合、メスと分けてもあらゆる手段を講じて、思いを成し遂げてしまうことも見受けられます。

 

不妊手術によるメリット(犬)

メス犬の場合の不妊手術のメリットは、性ホルモンによる問題行動や、生理を抑えるということの他に、いくつかの病気を予防することができます。前述の健康チェックの上、全身麻酔下で各モニターを装着し、点滴をしながら両側の卵巣と子宮(もしくは卵巣のみ)を切除します。これにより、卵巣、子宮に関わる病気を予防できます。代表的なところでは、中年期以降の犬に時々みられる「子宮蓄膿症(子宮に膿がたまる病気。治療の第一選択は卵巣子宮切除術。発見・治療が遅れれば死亡することもある。)」「乳腺腫」という乳腺にできる腫瘍の予防ということもあります。犬は他の動物と比較しても乳腺腫が発生しやすいのですが、悪性・良性の比率はほぼ半々です。ただし複数できた乳腺腫のうち、一つだけが悪性であることもあり、注意が必要です。
また、乳腺腫の予防のためには、「不妊手術の時期」がとても重要です。初回発情前に実施すれば、99.5%、1回目の発情後では92%、2回目の発情後では74%の確率で乳腺腫の発生を予防できるといわれています。ただし3回目の発情後もしくは2歳半以降では、乳腺腫の予防には効果がないと言われています。できるだけ多くのメリットを得るためには、小型、中型犬は6カ月くらいまで、大型犬は1歳くらいまでの初回発情の始まる前に不妊手術を実施するのがよいでしょう。このころは、体力も充分にあり術後の回復も良好です。また、発情出血がすでにあった場合、発情出血終了後2カ月は血管が発達し、出血しやすくなるので手術は実施できません。

 

去勢手術によるメリット(犬)

オス犬の場合も、去勢手術は性ホルモンによる問題行動を抑えることの他にも、いくつかの病気を予防することができます。手術は前述の健康チェックのうえ、全身麻酔下で点滴をしながら各モニターを装着し、両側の精巣を切除します。予防できる代表的なものとしては、精巣の腫瘍、前立腺肥大(前立腺が大きくなることによって、血尿や排便困難、下腹部の痛み、体を触られるのをいやがる、怒りっぽくなるなどがみられる)、会陰ヘルニア(会陰部の筋肉が薄くなり腸や膀胱、前立腺などが入りこむ)、肛門周囲腺腫(肛門の周りにできる良性の腫瘍。大きくなると表面がくずれ出血・化膿・排便障害を引き起こす。腫瘍を切除する際、肛門括約筋を傷つけてしまうことが多く、便が垂れ流しになってしまう後遺症が残ることがある。経過とともに悪性化したり、切除しても再発の可能性もあり注意が必要)などです。これらのうち精巣の腫瘍は、特に精巣が2つそろって陰嚢に降りてきていない「潜在睾丸」という状態のオス犬で注意が必要です。「潜在睾丸」の犬の場合、下降していない片方(もしくは両方)の精巣は、腹腔内や鼠径部にとどまっています。精巣は温度の高いところは苦手なので、これらの精巣は精子はつくれません(両側潜在睾丸の犬は子孫は残せません)が、性ホルモンの分泌は行われます。つまりオスとしての行動は他の犬たちとかわりありません。しかし「潜在睾丸」の場合、正常なオス犬の場合よりも10倍以上精巣の腫瘍が発生しやすいと言われています。精巣の腫瘍の中でも「セルトリ細胞腫」というものは、骨髄抑制をおこし死亡してしまうこわい腫瘍です。腹腔内の精巣が気付かないうちに腫瘍化して、手遅れになってしまうのはおそろしいことです。「潜在睾丸」の犬は去勢を検討してみるほうがよいかもしれません。

 

不妊・去勢手術によるデメリット(犬)

 

~手術について~
不妊・去勢手術を行った場合にも、もちろんデメリットもあります。全身の健康チェックを行ったうえで実施可能であると判断した場合にのみ手術は実施され、体調や性格、犬種によってどの麻酔薬をどのように組み合わせて、どれくらいの量を投与するのか、慎重に判断して麻酔をかけ、気管チューブを挿入して酸素および吸入麻酔薬を、モニターを確認しながら調節し、手術は行われます。いかなる場合も細心の注意を払って行うのですが、体質等によって予期せぬ薬に対する過敏反応が起きることがあります。その場合、手術を中止したり、急遽心肺蘇生術に切り替えることもあります。死亡してしまう確率もゼロではありません。動物の手術も人間の手術と同じようにリスクがあるということは、お話ししておかなければなりません。また、フレンチブルドッグ・ボストンテリア・シーズーなどの「短頭種」と呼ばれる犬種では、麻酔後に気道が閉塞してしまう危険性もあるため、他の犬種以上に注意が必要です。特にイビキをかく犬や太っている犬は要注意です。

 

~肥満について~
不妊・去勢手術をすることによって飼い主さんが一番実感するデメリットは、肥満。つまり体重管理の難しさです。術後、代謝が変わりカロリー要求量が減少するのですが(それまでの20~30%程度カロリー要求量が減ります)、性欲が無くなり本能的にその分食欲がUPします。縄張り意識が緩和され、のんびりゴロゴロしているなどの要因が肥満になりやすくさせます。一定の良質な食餌、規則正しい運動をすることによって理想体重は維持可能です。犬の理想体重は、1歳令のときの体重が目安だそうです。それは少々厳しくとも頭の片隅に置いておいてください。摂取カロリーにはもちろんフードの他に混ぜているもの、おやつ、人間のおすそ分け、ガム、ジャーキーなども含みます。食欲のまま与えるのは肥満一直線です。肥満は、糖尿病や関節炎、心臓病のリスクも上がるので気をつけてあげましょう。

 

~術中・術後のトラブル~
大型犬や肥満傾向の犬は、他に比べて胸が深かったり脂肪が多かったりするため結紮が難しく、術中に出血しやすいことがあります。また、先天的に血液凝固不全傾向をもつ犬種(ジャーマンシェパード・ウェルシュコーギー・ゴールデンレトリーバー・ラブラドールレトリーバー・シェットランドシープドッグ・プードル・ビーグル・フレンチブルドッグ・ビションフリーゼなど)も知られています。多くは血のにじむ時間が長引いたり、傷口に血腫ができ治癒が長引くぐらいで止血不能となるようなことはありません。これらの犬種すべてが血液凝固不全を示すわけではありませんが、注意が必要です。血腫になりやすい、血が止まりにくいなどの過去がある犬は、手術を行うかどうかよく考えたほうがよいでしょう。
その他、傷の自己損傷や充分な安静が保てなかったために、傷が開いて再縫合しなければいけないことが起きる可能性もゼロではありません。自宅での管理が不安な飼い主さんは、抜糸まで病院での入院管理も可能ですので、希望であればご相談ください。またごくまれに、手術のために被毛を刈った後に生えてくる被毛の変化や、発毛が認められない(ホルモンが関係した基礎疾患を持つ場合)などが生じることがあります。

 

~尿漏れ・尿失禁~
高齢の犬、特にメス犬に尿漏れ(尿失禁)がみられることがあります。手術直後よりも時間がたってから(早くて数カ月、多くは数年から10年以上して)みられることが多いようです。特徴的なのは、起きて活動しているときには起こらず、寝ているときや興奮したときにチョロチョロと漏れ出てしまうことです。中~高齢メス犬の3割くらいでみられる症状ですが、不妊手術済みの犬の20%以上、特に大型犬や肥満傾向の場合で多く見られます。まれに若いメス犬や去勢オスでも見られます。高齢や不妊処置により性ホルモンが減少し、膀胱括約筋の収縮力が低下するためと考えられておりますが、卵巣子宮の切除を行った犬より、卵巣のみの切除を行った犬のほうが発症率が低い(子宮を取りまく組織が膀胱の位置も保持しているためという説もある)という報告もあります。しかし現時点でははっきり証明されておりません。

 

~縫合糸によるアレルギー反応~
かつては、手術の際に、一般的で、体内に残す糸に絹糸が使用されていました。最近、この縫合糸による過敏反応が起きる可能性があることがわかってきました。この生体反応は抗生物質を内服すると一時的に改善するが、やめると再発を繰り返すというものでした。免疫が介在し、特にミニチュア・ダックスフントに多いと言われます。当院では少しでも反応しにくいように、犬の体内に残す糸は吸収糸(一定期間後に吸収され、なくなってしまう合成糸)を使用しています。それでも体質によってはこれらの糸に反応したり、無菌性の膿瘍が起こることもあるので術後の経過観察は重要です。

 

~発情回帰~
手術時に卵巣をとり残した場合や、卵巣が正常な位置以外にある「異所性卵巣」、術後、ホルモンの分泌をおこなう「濾胞」の形成等により、「発情兆候」がみられることがありますが、これらの発生は極めて稀です。

 

猫の交配 ~赤ちゃんが欲しいですか~

 

猫は、犬と異なり猫種間での大きさの差はあまりありません。猫も犬と同様に、純血種同士でも雑種とでも交配・妊娠が成立します。子猫は何と言っても愛らしく愛猫の育児を見守ることに、あこがれや幸せを感じることもあるかと思います。1回だけ出産させたい・・・とか、純血種の子猫を産ませて、この幸せを友人と分かち合いたい・・・とか。しかし、猫は不妊・去勢手術をしないと愛玩動物としては飼いにくい動物です。犬と比べると自宅で望んでの繁殖をするケースはあまり多くないかもしれません。メス猫は発情期が来て交尾が成立すると排卵し、年2回くらい出産します。環境が良ければ年に3回出産するケースもあります。1回の産子数は4~5匹(多ければ8匹位のこともあります)、生後半年もすると繁殖可能に性成熟します。子猫たちを不妊・去勢しないでそのままにしておくと、近親交配で(条件さえよければ)あっという間に100匹を超えてしまいます。発情期の猫にとって、相手がオスかメスかは重要ですが、親なのか子なのか兄弟姉妹かどうかは関係ないのです。欲求を満たしてくれる相手に、本能のまま身をゆだねるのです。また、家の中だけにとどまらず、自由に外に出歩けるようにすると他の猫たちとの交尾、出産、喧嘩、伝染病の蔓延、他人の家の庭や花壇、畑、公園等への糞尿汚染や、知らないうちに人の家に入り込んでしまうこともあります。可愛がって餌をあたえているだけでは猫好きとしては片手落ちです。食べたものは最終的には「排泄物」になります。そこまで責任を持ってください。また、なかには猫に対して重度のアレルギー反応を示す体質(皮膚症状、呼吸器症状、発熱など)の人もいるので、飼い主の知らないところで愛猫が他人の健康を脅かしてしまうこともあるのです。安易な餌付や繁殖は、病気になって死んでいく子猫や、施設に送られて殺処分になる猫たちを生みだします。猫を責任を持って健康的に飼うには、食餌、トイレ、トイレ砂等の消耗品、手入れ用品、爪とぎ、おもちゃの他に、病気予防のワクチン、外部寄生虫(ノミ・耳ダニなど)や消化器内寄生虫(回虫、瓜実条虫、マンソン裂頭条虫など)などの予防と駆除、万一の病気のためのお金など、費用もたくさんかかります。猫は犬と異なり回虫が寄生している場合、成猫になってからも糞便中に虫卵を排出し続けます。回虫卵は糞便に汚染された環境からの他にも、回虫が寄生している親猫から乳汁を通じて子猫にも感染します。知らないうちに家の中が回虫卵だらけ・・・ということも起きかねません。定期的な糞便検査、駆虫、予防が犬以上に大切です。
また、純血種の交配で特に注意しなければいけない猫種があります。突然変異によって生まれた形質を固定したスコティッシュフォールド(耳が垂れている)、アメリカンカール(耳が外向きにカールしている)、マンチカン(短い手足をもつ)などです。これらの猫は「(特に末端部の)骨格異常」をおこす遺伝子を持っているため、安易な交配は厳禁です。折れ耳のない個体や交雑種との交配を選択する必要がありますが、それでも先天的に異常を持った子猫が産まれてしまうことがあります。なかでもスコティッシュフォールド同士、スコティッシュフォールドとマンチカンの交配は厳禁です。子猫を望む場合は、生まれてくる子猫、周りの人々の健康、幸せも考慮しながら、猫たちを可愛がってください。

 

猫の発情期の行動

 

猫の場合、発情期に伴う行動は人間にとってあからさまな問題行動として現れます。メス猫の発情期は、年2回(場合によって3回)です。発情期になるとメス猫はソワソワしてオスを求め、大声で激しく鳴き続けます。冬の終わりから春の始めごろ、赤ちゃんが一晩中大泣きしているような声を聞いたことがありませんか?実はそれは赤ちゃんではなく、発情期のメス猫の切ない叫び声だったりするのです。発情期は交尾が成立するまで、少し途切れては、また大声でなき叫ぶことを繰り返します。猫は交尾排卵動物なので、交尾が成立するまで排卵は起きず、ずっとオスを求め続けます。時に脱走までします。色っぽく「ごろにゃん」と、悩ましいそぶりを見せつけたりもします。あまりに大声で激しいので、近所迷惑が気になったり、飼い主さんも夜眠れず、日常生活が立ち行かないほどになってしまいます(まれに控えめな猫もいますが)。オス猫の発情は決まった時期はなく、メス猫の都合にあわせていつでも繁殖OKの状態です。猫は犬のように社会性をもって順位を形成する動物ではなく、「自分のテリトリー」を死守する単独行動の動物です。「オレの縄張内の女は全部オレのもの。よそ者は手を出すな」と、常に縄張り意識でギンギンです。そのため去勢手術を行っていないオス猫は、つよい縄張り意識の他にも、他のオス猫への攻撃性、尿によるマーキング、(尾をたてて垂直な壁などに尿をスプレー状にして吹き付ける)スプレー行動、家におさまらず外に出て行ってしまう、発情期のメスを求めて脱走、交通事故、オス同士の喧嘩による外傷、伝染病をうつされるなどが起こります。特に未去勢のオスの尿の臭いはとても強く、室内でマーキングやスプレーされては人間のほうもたまらないような刺激臭です。

 

不妊・去勢手術によるメリット(猫)

 

家庭猫の場合、不妊・去勢手術を行うメリットは、問題行動の阻止が第一でしょうか。他の動物に比べて猫の発情期の行動はあまりに激しく、家庭猫として飼うにはあまりにも飼いにくいからです。手術を行うことにより、メス猫の鳴き声はうそのようにおさまります。オスは、なわばり散策の癖がついている猫は、外を歩きたがりますが、縄張り争いからはずれるので、喧嘩や脱毛、交通事故のリスクが劇的に減少します。手術の時期が遅い場合、スプレー行動は「習慣」として残ってしまうこともあります。しかし、尿の臭いはガラリと変わり、子猫やメス猫と同じような臭気の弱いものに変化します。オス・メスともに性格が安定して、穏やかな甘えん坊になります。「子猫がえりした」というような印象を受ける方もあるかと思います。平均寿命は、手術をした猫たちのほうが圧倒的に長くなるようです。また望まない繁殖の防止や、性ホルモンが関わる病気の予防についてもメリットがあります。メス猫は望まない繁殖を阻止することは、最重要なメリットのうちの一つです。とにかく子猫の里親を見つけるのはとても困難です。(動物愛護相談センターで殺処分される猫はほとんどが子猫です)また、メス猫の病気の予防として、代表的なものに「乳腺腫」と「子宮蓄膿症(子宮の中に膿がたまる病気。治療の第一選択は卵巣子宮摘出術。発見、治療が遅ければ死亡することもある)」があげられます。猫の乳腺腫は、犬と異なりほとんどが悪性の腫瘍です。大きく広がり自潰、肺などに転移し、高い確率で命を奪います。乳腺腫に対する予防は、早期不妊が有効な方法です。6カ月令までに実施すれば91%、7~12カ月令までの実施で86%、2歳までの実施で11%の確率で予防が可能だと言われています。また、2歳以上で実施した場合には、乳腺腫の予防効果はないと言われています。手術は犬と同様、健康チェックを実施して、全身麻酔をかけて吸入麻酔薬および酸素を吸入させながら、モニター装置下で実施します。メス猫は両側の卵巣と子宮を、オス猫は両側の精巣を切除します。

 

不妊・去勢手術によるデメリット(猫)

 

~肥満~
不妊・去勢手術を行った猫たちは、代謝が変わり、問題行動が無くなる代わりに、激しい発情や縄張り争いで消費していたエネルギーが使われなくなります。ごはんと昼寝、ひなたぼっこが趣味になります。代謝が変わることによってカロリー要求量が減少し、性欲がなくなり、本能的にその分食欲がアップします。体の必要カロリーは術前の20~30%減少しているのに、食べることへの興味が増してゴロゴロしているので、体重管理は難しくなります。好物をたくさん器に盛って、好きな時に好きなだけ食べられるような食生活をしていると、いつの間にか5kgを超え、小顔のわりには下腹がたるんだ肥満猫になってしまいます。体を触った時に、肋骨が確認しにくかったり、ウエストが無くなってしまっているようでは、もう立派な肥満猫です。一定の良質な食餌を、人間が分量、カロリーをコントロールして与えることによって理想体重は維持可能です。猫の理想体重は、1歳令の時の体重が目安だそうです。それは少々というよりはかなり厳しい参考値ですが、頭の片隅に置いておいてください。摂取カロリーには、もちろんフードの他に混ぜているもの、人間のおすそ分け、かにかま、かつおぶしや煮干し(これらは塩分、ミネラル過剰にも注意です)なども含みます。おもちゃで遊ぶ猫もいますが、大人びてノリが悪くなってきた猫ちゃんには、フードを小皿にいれて、少量ずつ棚や出窓の上などに置き、食べるためには運動をしなければいけない環境をつくるのも1つのアイディアです。ただし、体格や器を置く場所によっては怪我をさせてしまうこともあるので、状況・状態をみながらやってみてください。フードは1回で全て与えるよりも、小分けにして何度も与えるほうが、摂取カロリーは同じであっても血糖値の上がり下がりが少なく、肥満の予防には効果があります。好み、体調をふまえたうえで、カロリーが低めのものを選んであげてください。肥満は、糖尿病のリスクも上がりますし、体格の良い(太った)猫が体の不調や精神的なダメージなど何らかの要因で食欲不振になると、「肝リピドーシス」という肝細胞が脂肪に置き換わってしまう病気になる可能性が出てくるので注意が必要です。3日食べられない場合はかなり危険です。病気が進行し、肝酵素の数値の上昇、黄疸がでて死亡してしまうことがあります。重度の肝リピドーシスの救命率は大変に低いものです。飼い主さんの体重管理、食餌管理にかかっています。健康で長生きさせてあげましょう。

 

~発情回帰~

犬のところでも述べましたが、ごくごく稀ですが、特異体質をもつ猫の中に卵巣が正常な卵巣以外の場所にある「異所性卵巣」というものが報告されています。この場合不妊手術後にも卵巣が残っているため、発情兆候がみられるようです。再手術が必要になりますが、卵巣を探すのは困難かもしれません。

 

ウサギの場合

ウサギは1回の出産で平均6~8匹出産します。また、野生のウサギは年に5~6回出産し、食肉用のウサギは年に8回出産も可能です。ペットとして飼われているウサギは繁殖させるケースは少ないと思いますが、オス・メスが同居で環境が良い場合、とても飼いきれないほどに増えてしまうので、赤ちゃんが欲しい方はよく考えてみてください。自然界で食物連鎖(食う食われるの関係)で一番下に位置し、自分は草を食べ、角や牙などの武器を持たず、常に肉食動物に命を狙われているウサギは、種を存続するためにたくさんの子孫を残す手段を選んだのでしょう。一方で、人間にペットとして飼われるようになったウサギは、「たくさん子供を産む体」を持ちながら繁殖が制限されてしまいます。そのため、犬や猫などとはまた異なる特徴や、なりやすい病気があります。ウサギの特性を理解したうえで、不妊・去勢について考えてみてください。

 

ウサギの発情

ウサギのメスは猫と同じように交尾排卵動物(交尾をすることによって排卵する)です。ただし、年2~3回発情期が訪れる猫と異なるのは、発情期がとても長いということです。時々1~2日の休止期があるだけで、他はほとんど発情期(交尾可能な状態)です。オスも1年中交尾可能な状態です。メスの小型種の性成熟は約4ヵ月令、中型種で約5~6ヵ月令です。オスはそれより性成熟の時期は1ヶ月ほどおくれます。性成熟に達したメスとオスを一緒にすると(ウサギたちがリラックスできる環境にすると)すぐに交尾活動が始まります。また、すでに妊娠しているメスのところにオスを入れると、メスはオスを激しく攻撃します。赤ちゃんを望む場合は、オス、メスを一緒にする必要がありますが、常に同居させていると、前述のように次々と増えてしまいます。また、増えるのを阻止するために、今まで同居していたウサギたちを急に別々に分けてしまうと、今度は寂しがってストレスになってしまいます。ストレスは食欲不振をはじめ、万病のもとです。また、飼い主への攻撃行動としてあらわれることもあります。そのため、オス、メスで飼育するときは常に一緒にせず、始めから別々に飼育し、交配するときだけ一緒にするという方法がよいでしょう。また、ウサギは同性同士の場合、激しいテリトリー争いになることが多く見られます(オスはメス争奪戦に備えた縄張り争いのため、メスは安心して出産・子育てができるテリトリー確保のため)。ウサギは一般的におとなしい動物と思われていますが、ウサギ同士、同性同士の場合は、眼を疑うような激しい喧嘩になります。毛をむしられ、耳を食いちぎられてしまうことさえあります。オス、メスの場合でも基本は別飼育ですが、常に発情の衝動にかられているウサギが身近に相手を感じながら交尾ができない欲求不満のストレスは相当のものです。複数飼育の場合、できればオス、メスとも不妊・去勢してあげたいものです。もしくは1匹のみの単独飼育が良いでしょう。煩悩とテリトリーを死守する使命から解放されて仲良く心穏やかに暮らせるのは幸せなのではないでしょうか。

 

不妊・去勢手術によるメリット(ウサギ)

メスウサギの場合は、ペットとして飼育されている動物たちの中でも、不妊手術をすることのメリットはトップクラスに多いと思われます。なにしろウサギは年がら年中発情しっぱなしの特殊な生理を持っているので、繁殖・出産なしに過ごすのは、体にとってとても不自然なことになってしまうのです。その結果、5歳以上のメスウサギの子宮疾患の発生率は80%以上にのぼるとも言われています。(子宮疾患とは、子宮内膜過形成、子宮腺がん、出血性子宮炎、子宮水腫、子宮筋腫、子宮蓄膿症、細菌性子宮炎などです。犬などに比べて子宮疾患といっても感染による子宮蓄膿症が占める割合は、それほど高くありません)まず、メスウサギを飼い始めたら、「不妊手術をしない場合、将来子宮の病気になってしまう」くらいのつもりでいても思いすぎではないかもしれません。犬・猫の生殖器疾患の発生率よりもはるかに高率です。前述した子宮疾患は、血様の分泌物がみられることにより、発見されます。尿に血液が混ざっているので、「血尿」と間違えやすいのですが、「血尿は全体的に血液が混ざった均一な色」をしているのに対し、子宮疾患でみられる「血様分泌物」は尿に血液が混ざっている(肉眼的に血が混ざっている部分があると確認できる)ものです。スノコや床に「血液と尿があった」とか、「血がついていた」などという場合も同じです。ウサギは膣部が広いので生殖器からの不正血液が膣部に貯まり、尿をしたときに一緒に流れ出てくるので、そのような状態になります(ちなみにウサギの尿は、食べ物により「ポルフィリン」という色素でオレンジ色~赤茶色っぽくなることがあります。さらに尿には炭酸カルシウムの結晶がみられることは普通なので、犬猫と違い、尿に白っぽいものが含まれて濁っていても問題のないことが多いです。食欲不振の場合、尿が濁らずに透明なものだけのこともありますが、それは心配な尿です。ただし、ウサギにも膀胱炎や尿結石症は起きるので、心配な時は尿検査やレントゲン検査をします。尿検査により血尿とポルフィリン尿との鑑別は可能です)。ウサギの生殖器からの出血は、抗生物質や消炎剤、止血剤等の内科的治療では治療効果は期待できません。手術による卵巣子宮摘出術のみが唯一の根治療法となります。悪性である子宮癌も初期は無症状で、食欲・元気にも変化はありません。不正出血(尿への血様分泌物の混入)のみが徴候のことも多いです。早期発見で卵巣子宮の切除術を行った場合は、死亡率が低くなります。進行すると腫瘍が肺に転移し呼吸困難を起こし死亡することがあります。食欲・元気の低下が見られてからでは手遅れです。2歳以上のメスウサギで血尿かな?と気付いたもののうち9割くらいが子宮からの出血です。子宮疾患は、腫瘍性のものでも非腫瘍性のものでも出血のみが飼い主さんが気付く唯一の変化で、食欲、元気も良好であることが多く、「膀胱炎かな?」という感じで来院されることが良く見られます。しかし手術をしてみて「思っていたよりも病気は悪い状況だった」と驚かれる飼い主さんも多いです。また病気ではありませんが、乳腺の発達や自分の毛を抜いて巣作り行動を示す「偽妊娠」を起こすものもいます。去勢済みのオスや他のメスにマウンティングされるなどをきっかけに「偽妊娠」が起こることがあります。
ウサギは、脂肪がよく蓄積する動物で、特に内臓脂肪が多いので(内臓脂肪が多いと、術野も見にくく、結紮もしにくく、出血もしやすくなります。手術時間も長くかかってしまいます)、ウサギに負荷が少なく、体力があり、より安全な手術を望むのであれば6ヵ月令~1歳令くらいの間に不妊手術を実施するのがよいでしょう。
病気の予防以外にも長期的な発情のストレスから解放して不安定な精神状態からリラックスした状態にしてあげるというだけでも、充分メリットはあると思います。
不妊手術は、健康チェック、血液検査を実施し、手術可能と判断されれば全身麻酔下で点滴をしながら開腹し、両側の卵巣と子宮もしくは両側の卵巣のみを切除します。犬や猫と大きく異なるのは、麻酔の直前まで食餌を与え、覚醒後もすぐに食餌をとれる状況にしておくことです。
オスウサギの場合、病気の予防としては、あまり発生率は高くありませんが、時々精巣の腫瘍がみられるので、去勢手術で防止することができます。その他のメリットは、縄張り主張、けんか、外傷性の膿瘍(ウサギの膿瘍は硬結し、抗生物質が届きにくく難治性です)、性的ストレス、スプレー行動、望まない妊娠の防止、飼い主に対する狂暴化、攻撃性の抑制などがあります。複数飼育の場合のほうがより問題行動は顕著に現れますが、上記のうちいくつかは同様なことが単独飼育で問題になることがあります(もちろん問題行動の全てが性的ストレスが引き金というわけではありません)。また性的ストレスは、単独飼育の場合は複数飼育に比較したら少ないですが、もちろんゼロではありません。尿スプレーは去勢手術により90%くらい消失するとも言われています。
ウサギのオスは4ヵ月令くらいから去勢手術を行うことが可能ですが、理想の実施時期は6ヵ月令~1歳令です。またウサギのオスは去勢手術実施後もしばらくは副生殖腺に残った精子によりメスを妊娠させることが可能です。去勢後1ヶ月以上経っても妊娠したという例もありますので、少なくとも6週間はメスと隔離してください。去勢手術は、健康チェック、血液検査を実施し、手術可能と判断されれば全身麻酔下で点滴をしながら、両側の陰のうの皮膚をそれぞれ切開し、精巣を切除します。メス同様麻酔の直前まで食餌を与え、覚醒後もすぐに食餌をとれる状況に管理します。

 

不妊・去勢手術によるデメリット(ウサギ)

オス・メスに共通するデメリットとして、肥満・体重管理の難しさがあります。肥満は、心肺機能や骨格系に負荷をかけるだけではなく、四肢の着地面に炎症や潰瘍を起こす足底潰瘍(ソアホック)を引き起こします。足底潰瘍は、金網や硬すぎる床材などで発症しますが、肥満による体重過多の場合は危険度が増します。ウサギの足底潰瘍は悪化している場合、難治性のものが多く見られます。体重の管理は不妊・去勢前に比べて摂取カロリーを2割くらい減らす必要があります。良質なラビットフードを選び、パッケージに記された量を参考にして計算してみてください。ラビットフードの他には、食べたいだけ充分な牧草(チモシーなど)、少量の野菜や果物などを与えてください(柑橘類は下痢や軟便を引き起こすことがあります)。コロコロの糞が1日200個以上出るのがひとつの目安です。また、麦類やビスケット等の炭水化物は(好むウサギは多いですが)過給により消化管内にガスが発生し、食欲不振や排便停止、状況によっては数時間で死亡してしまうこともありますのでお勧めできません。またメスウサギには、不妊手術後に尿漏れ・尿失禁が見られることがあります。犬でも不妊手術をおこなった2割くらいでみられる症状だと述べましたが、ウサギのほうが発症率が高いようです。なかには、内服薬でコントロールしてあげる必要が出るケースもあります。

 

フェレットの場合

ペットとして飼われる動物の中でもフェレットのメスのように発情期が半年以上続き、排卵しないとホルモンの影響を受け続け(持続したエストラジオールの高値)、その結果、脱毛や骨髄抑制が起こり、死亡してしまうことがあるため、すでに不妊処置済みで市場に出回る動物もあります。フェレットのオスは、性格を穏やかにしたり、繁殖期の皮脂腺の分泌物の臭いを軽減するために、メス同様去勢済みの状態で市場に出ます。俗にスーパーフェレットとして売られているものは、不妊・去勢手術と肛門腺の除去が済んでいるフェレットたちです。ヨーロッパ生産のものは半年令以内、早期不妊・去勢の考えが浸透しているアメリカ生産のものは4~6週令で処置を行うようです。

 

まとめ

不妊・去勢手術は義務化されているものではありません。上記のような情報をご家族で共有され、よく話し合ってみてください。不明なこと、わかりにくいこと、「うちの子の場合はどうなのか?」などありましたら、なんでもご相談ください。推奨される時期が過ぎていたとしても実施することはその年齢なりにメリットもあるものです。心配しないでください。動物とともに幸せの多い日常を送ってくださいね。

猫のフィラリア症

近年猫のフィラリア症について詳細がわかってきました。猫は犬に比べると、フィラリア症になっても自分の免疫力で排除する力が犬よりも強いとされているため、重篤なフィラリア症になるのは少ないといわれていました。ただし、猫のフィラリア症の調査・研究が進みいろいろなことが明らかになってきました。
それによると、「猫の90%はフィラリアの感染歴がある」ということが全国的な疫学調査で明らかにされました。ただし、排除する力は犬よりも持っているため実際に「フィラリア症」になってしまうのは全体の10%程度だそうです。ただし、心配なのは「フィラリア症になってしまった猫」のうち約40%は完全室内飼育でした。完全室内飼育であれば大丈夫ということは(犬も!)決してないということです。
猫のフィラリア症は犬のフィラリア症とは症状が異なるので注意が必要です。猫のフィラリア症は発症すると呼吸困難、咳、嘔吐、体重減少などの症状が見られます。悪化するとまれに突然死を招きます。猫の突然死のうち約30%はフィラリア症によるものであるということもわかってきました。(突然死の原因としてフィラリア症以外には猫心筋症が約30%残りはその他の原因と言われています。)猫のフィラリア症による咳や喘息などの呼吸器関連の症候群はHARD(Heartworm Associcated Respiratory Disease:犬糸状虫随伴呼吸器疾患)とよばれ、予防の必要性が啓発されています。
猫には現在滴下型のフィラリア予防薬があります。(フィラリア症の他にも複数の寄生虫疾患を予防する複合型の薬になります)。
猫は犬のように血液検査でミクロフィラリアや抗原検査で感染を見つけることは困難です。それは猫が犬よりもフィラリアを排除する力があるため心臓に多数のフィラリアが住みついたりミクロフィラリアを生みだしたり、フィラリアが充分に成長できなかったりするためです。ただし、怖いのは猫の心臓は犬に比べてとても小さく動きも早いので、たった1匹の寄生でも(未熟な虫でも)突然死を起こしかねないということです。
猫の場合は「予防薬の開始」が全てです。予防推奨期間は犬と同じになります。東京では5月の中旬から11月の中旬を超えるまでとなります。

犬のフィラリア症

犬のフィラリア症(犬糸状虫症)とは?

犬の心臓にそうめん状の虫が多数寄生し(オス:15~20cm、メス:25~30cm)、放っておくと死亡してしまう病気です。この病気は犬が、フィラリアの仔虫を持っている蚊にさされることによって、かかってしまいます。最近でも日本の犬の全国平均の感染率は50%前後と言われています(1999年のデータ)。2015年に実施された全国的な調査でもまだまだ感染は全国的にみられ、もちろん東京都も例外ではありませんでした(獣医師向けインターネットサイトによるアンケート調査)。予防薬の普及により、以前よりフィラリア症にかかっている犬はずいぶんと減少しましたが、すでにフィラリア症にかかっている犬がいる限りすべての犬は感染の危険にさらされています。また、犬だけでなく野生動物も感染しますので、野生動物を介した感染もあるためしっかりとした予防は引き続き必要になります。

犬以外の感染

フィラリア(犬糸条虫)の本来の寄生動物(終宿主)は犬ですが、猫、フェレット、タヌキなどにも寄生することがあります。また、ごく稀に人での寄生も報告されています。

どのようにして感染するのでしょうか?

①フィラリアに感染している犬を蚊が吸血し、蚊の体内にミクロフィラリア(第1期幼虫:0.3mm)が入り込む。

②蚊の体内でミクロフィラリアは2回脱皮して感染力を持つようになる。

第1期幼虫  →  第2期幼虫  →  感染第3期幼虫(約7mm)
脱皮        脱皮

③体内にフィラリアの仔虫(感染第3期幼虫)持った蚊が犬を吸血したとき吸血孔から仔虫が犬の体内に入り込む。

④仔虫は犬の体内(筋膜下、皮下組織、脂肪組織、筋肉内など)で2回脱皮して成長する。

第3期幼虫  →  第4期幼虫  →  第5期幼虫(約2cm)
(1~10日) 脱皮(50~68日) 脱皮   (90~120日)

⑤仔虫(第5期幼虫)は血管(静脈)に入り込み、血流に乗って心臓(右心室)へ入り、成虫になり新たなミクロフィラリアを産む(感染後約6ヶ月)。

☆犬に主要な病害が発生するのは心臓に幼虫が移行する感染後約4ヶ月以降、血液中にミクロフィラリアが現れるのは感染後約6ヶ月以降となります。

気温と蚊の関係

気温が25~31℃の時が、蚊の体内にいるミクロフィラリアにとって最適温度となります。気温が15℃以下または34℃以上では蚊の体内で成長しないといわれています。

フィラリアの寿命

フィラリアは犬に感染して約6ヶ月で成虫になります。成虫の寿命は5~6年です。フィラリアが生み出したミクロフィラリアの寿命は1~2年です。

血液中のミクロフィラリアについて

ミクロフィラリアは時間帯により、血液中を泳いでいる数が変動します。昼間はかくれて、蚊の活発に活動する夕方4時~翌朝4時(最も多いのは夜10時ごろ)くらいにたくさん末梢血中に現れます。(日中の約6.5倍)

オカルト感染とは?

フィラリアの成虫が心臓に寄生しているのに、血液中にミクロフィラリアが検出されない状態をオカルト感染と言います(感染犬の25%)。オカルト感染は、オスあるいはメスだけの寄生の時、ミクロフィラリアの殺虫効果のあるフィラリア予防薬を飲んだため、心臓に成虫がいても血液中にミクロフィラリアがいない時、数がとても少ない時におこります。

フィラリア症を予防しないと?

予防しないまま、1夏を越した犬の38%、2夏を越した犬の89%、3夏を越した犬の92%がフィラリア症にかかるというデータがあります。感染した犬のうち、症状があらわれるのはこのうち約40%程度です。

感染するとどのような症状が出るのでしょうか?

A.慢性犬糸状虫症(約95%)

フィラリアに感染して、症状が出る割合・・・36.9%
症状:元気↓、食欲↓、栄養状態↓、毛艶が悪くなる、疲れやすい、貧血、黄疸、咳、呼吸困難、失神、むくみ、腹水、胸水など

B.急性犬糸状虫症(大静脈症候群)(約5%)

発症前には、ほとんど症状がない(まれに咳がみられる程度)。突然発症し、ほとんどが助からない。
症状:元気食欲廃絶、重度の貧血、血色素尿(赤い尿)、呼吸困難、不整脈、心雑音、頚静脈拍動など

予防法

年1回の血液検査と、月1回の予防薬の内服等で感染から守ることができます。

なぜ検査が必要か?

フィラリア症に感染している場合、予防薬を飲むことにより血液中のミクロフィラリアが急速に死んで毛細血管につまることでショック症状を起こして犬が死亡してしまう危険を避けるためです。

血液検査の方法

検査にはいくつかの方法がありますが、主なものは次の3つです。

直接法:血液を1滴直接顕微鏡で観察しミクロフィラリアの有無を調べる。検出率は約50%。前年の不完全な予防、血液中にミクロフィラリアの泳いでいる時間帯などで必ずしも正確な結果が出ないことがある。

集虫法:ある程度まとまった血液を遠心したりフィルターを通したりしてミクロフィラリアの有無を調べる(直接法より検出率があがる)。

フィラリア成虫の抗原検査:血液を薬剤と反応させ、フィラリアの成虫から排泄される微量な物質を抗原抗体反応(検査キット)でみる方法。検出率90%以上(オスのみの寄生、感染後6ヶ月以内の未成熟虫の寄生などでは検出されないこともある)。

予防の方法

現在フィラリアの予防薬は、飲み薬(粉剤、錠剤)、チュアブル(お肉型)、滴下薬があります。

いずれのタイプの薬も、フィラリアの仔虫が犬の体内に入りこんで成長し、血管に入り込むまでの第4期幼虫(薬によっては第3期幼虫と第4期幼虫)を駆虫するものです。血管内や心臓内に入り込んでしまった虫には効き目がありません。

そこで、犬がその年の最後に蚊に刺されたよりも後に予防薬を投与してあげるようにしなければなりません。(予防薬とはいっても、本質的には投薬したその時点で、薬が有効な段階のフィラリアの仔虫を駆虫するための薬です。これらの薬は、犬が蚊に刺されないというものでも、1ヶ月間持続的に駆虫し続けるものでもありません。薬は投薬後、速やかに体外に排出されます。)

予防の時期

予防薬の投与は、感染の危険のある約1ヶ月後から蚊のいなくなる約1ヶ月後まで必要になります。この地域では、通常5月から11月下旬もしくは12月上旬まで予防薬を投与することが必要になります。

不幸にも感染してしまった場合

無症状~軽度の場合は心臓内の成虫を駆虫してからミクロフィラリアを駆除しますが、重度感染の場合、成虫駆虫は不能となり治療が大変難しく、ほとんどが死亡してしまいます。

最後に・・・

フィラリア症は、とても怖い病気で、昔はこの病気によって多くの犬が亡くなりました。幸い、現在は良い予防薬、検査キットができ、きちんと薬を投与すれば予防できる病気になりました。春からはじめたフィラリア予防薬を、確実に最後の1回まで投与することが大切です。

蚊があまり見られなくなる11、12月になると安心して忘れてしまいがちですが、その最後の1回の投薬が愛犬をフィラリアから守ってくれることを忘れないでください。

 

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